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軽量級重工ファンタジー-ブルータワー

ご無沙汰しております。

 

今日は石田衣良の『ブルータワー』の紹介をします。

 

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 ・あらすじ

悪性の脳腫瘍で死を宣告された男の意識が、突然200年後にタイムスリップする。そこは黄魔という死亡率87%のウイルスが猛威を振るう、外に出ることは死を意味する世界。人類は「塔」の中で完全な階級社会を形成して暮らしていた。その絶望的な世界に希望を見出すため、男は闘いを決意する!長編SFファンタジー。

 

石田衣良について

最も有名な作品は、やはりIWGPでしょうか。池袋ウエストゲートパーク。一昔前にドラマ化され一世を風靡した作品ですね。TOKIOの長瀬がカッコよくて誰しもが一回ワルにあこがれていましたね。

この作品は主人公の話し言葉の文体で話が進んでいく点が、『ブルータワー』と大きく違うところでしょうか。

まるっきり文体を変えて書ける点は凄いと感じました。

 

・本作について

9.11に触発され、書き下ろしたという作品。

脳腫瘍で余命わずかとの宣告に、追い討ちをかけるように妻の不倫を知らされ、失意に沈む瀬野周司がタイムスリップした200年後の東京は、ウイルス戦争を経た死の世界。病原菌から隔離された「ブルー・タワー」に閉じこもって暮らす人々と、ウイルスが蔓延する地表での生活を強いられる「地の民」が、救いのない殺戮戦争をくり広げる。
 周司に課せられた役回りは、荒廃した世界の救世主。あまりの重荷に、自分に何ができるのか自問自答する周司だが、命を投げ捨てて闘いにおもむく人々の姿に背を押され、愛する人に支えられ、徐々に自信を回復し、使命を全うすべく突き進んでいく。

 

判りやすいまでの悪と判りやすいまでの正義。男女のどろどろとした部分が描かれつつも主軸は世界が崩壊していく様。主人公のさっぱりとしつつもどこかメンヘラチックな性格は好みが分かれるところでしょうか。

 

とはいえ、作品のモチーフと異なり軽快に読み進んでいける作品となっております。

ただ個人的には、石田衣良が書く人物は爽快なキャラクターが多いので、現実という背景があった方が感情移入しやすいかな、と感じてしまいました。

軽めのSFが読みたい方は是非!