才覚たちの妙-黒猫の三角
以前書いた、森博嗣の『すべてがFになる』の別シリーズ1作目、『黒猫の三角』の紹介をしたいと思います。
Vシリーズといわれる連作ものになっており、S&Mシリーズとの相関もありますが、そこを書いてしまうとネタバレになってしまうので、ご興味ある方は読んでみるor調べてみることをお勧めします。
『黒猫の三角』あらすじはこちら。
「1年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、6月6日、44歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。
森博嗣の新境地を拓くVシリーズ第1作、待望の文庫化」
こちらは『瀬在丸紅子の事件簿〜黒猫の三角〜』のタイトルでフジテレビ系列の『赤と黒のゲキジョー』枠でテレビドラマ化されました。
主演の壇れいが役にぴったりはまっていたのが印象的でした。
はい、相も変わらず密室殺人です。
ですが今回もキャラクタが魅力的!!!!!
密室トリックもさることながらキャラクタに引き込まれます。
前回と同じように一人ひとり焦点を当て紹介していきます。
元旧家の令嬢にして自称科学者。本シリーズの探偵役。かつては旧家の令嬢であり、桜鳴六画邸と呼ばれる屋敷に住んでいたが、瀬在丸家が落ちぶれてしまったことで、現在は市が管理する桜鳴六画邸の敷地内にある無言亭と呼ばれる小屋で、一人息子と執事と共に、細々と暮らしている。
令嬢らしく気品のあるしゃべり方をするが、時に傲岸不遜な口調になったり、一日もしくは一時で性格や機嫌が全く変わってしまうことも多々ある。保呂草曰く、彼女の思考は常に変化しており複雑なので一寸先も読むことができないらしい。その思考能力の一端として、S&Mシリーズにおける犀川創平と同様に「指向性が卓越している」と評されている。
そうです。天才です。論理的思考に裏打ちされた推理は大胆にして緻密な反面、世間知らずなお嬢様的資質が災いしてしばしば危機に陥ることもある、というS&Mシリーズの萌絵のような面があります。
保呂草潤平
無言亭の近所に位置するアパート、「阿漕荘」の住人。私立探偵と便利屋を兼業している。また、美術品に関しても精通しており、鑑定士を肩書きにすることもある。
他人の前では飄々とした態度をとるが、非常に頭のきれる冷静沈着な人物でもある。また、便利屋の仕事では盗品の売買や美術品の盗み、詐欺など犯罪行為も数多く行っている。それゆえに、錠前破りや格闘・護身術のエキスパートである。美に対しては独特の価値観を持っており、単なる所有欲や売買以外の目的で動くことも多い。長く外国を回っていたため、海外に知り合いが多く、また人脈も多い。
紅子に対して盲目的なところがあり、プロポーズめいたことを口にしたことも。また、彼女のためにこのシリーズを書いたことを告白している。
ちなみにこのVシリーズ、全編を通して保呂草の視点から描かれています。(後々この設定がトリックとなることもあるのが面白いです)
小鳥遊練無
無言亭の近所に位置するアパート、「阿漕荘」の住人。国立N大学医学部生。女性的な性格の持ち主で、男性でありながら女装癖があり、スカートが広がるファンシーな服装を好む。その一方で少林寺拳法の心得もあり、その実力はかなりのもの。
顔立ちがかわいらしく、比較的小柄で声も高い上に女装が似合いすぎているため、初対面の者には女装しているということが気づかれず、テレビ局などでは度々スカウトされるほど。本人曰く「スカートを履いていると戦闘の際、足の運びが分かりづらくなり、対戦相手に対して有利になる」とのこと。
紫子とは、互いに異性を感じていないかのようにつきあっており、「れんちゃん」と呼ばれている。自身の名前にちなんでのことかは不明だが、少々ふざけた発言の際、語尾に「 - なりね(なり)」とつけることがある。
女装癖かわいい系男子、登場です。もうすでに胸焼けしそうなキャラクタ勢ですね、、、
香具山紫子
無言亭の近所に位置するアパート、「阿漕荘」の住人。私立女子大生で文芸学部だが、ろくに大学には行っていない。男っぽい性格をしており、長身でショートカット、ボーイッシュな服装を好むため、男に間違えられることも多々ある。関西弁を操る。
保呂草に想いをよせている節があるが、自身でも今ひとつ確信できていない。両親は芦屋に住んでおり、アルバイトはしていない。練無に対して保護者気分でおり、実際に練無の感情面で大きな支えとなる場面もある。ホラーやスプラッタが苦手。練無からは「しこさん」、保呂草からは「しこちゃん」と呼ばれている。
メインは上記4人により話が進んでいきます。
他にも重要度で言えば紅子の息子や元旦那も高いのですが、ネタバレをしては元も子もないので、割愛させていただきます。
S&Mシリーズと異なる点はテンポ感にあります。
勢いよくがーっと進んでいくのがS&Mシリーズ、ちょいとスローにオシャレに会話を楽しみつつ謎が解けていくのがVシリーズ。実際『黒猫の三角』の中には注意しないと気付かないような謎がいくつもちりばめられています。
『すべてがFになる』が好きになった人であればお気に召すかと思います。
そのうち別シリーズの紹介もしようと思っています。
それでは!