追ってくる自身-バイロケーション
著者:法条遥
出版:角川ホラー文庫
頁数:421頁
手に汗握るホラー小説はいかがでしょうか。
あらすじ
主人公は画家志望の女性。
ある日、新婚の忍はスーパーマーケットで偽札使用を疑われ、警察に通報されてしまう。しかしやってきた警察官・加納に連れて行かれたのは警察ではなく、高級フランス料理店「アンリス」だった。
そしてそこで忍は”バイロケーション”という自分と寸分違わぬ容姿をして、オリジナルの記憶も知識も全て持っているもう1人の自分というものが世の中に存在しており、そのバイロケーションによって生活を乱されている人が他にもいるため、情報交換や対策を立てる会を発足しているということを聞かされる。
到底信じられない忍は、その場にいた加納を含めた他のメンバー(飯塚・門倉・御手洗)からの会への誘いも断ったが、その後も度々バイロケーションに遭遇したため、バイロケーションに夫をとられてしまう可能性も危惧して会への参加を決めた。
情報交換が主であった会での対策は、バイロケーションを捕まえて殺し、その後の経過を観察するという第2段階に突入しようとしていた。
警官という職業柄、拳銃を所持している加納のバイロケーションがその対象として選ばれたが、実際に捕えて医師の御手洗が解剖した翌日、本物の加納が自宅で遺体で発見される。殺したのはバイロケーションではないかと考えた飯塚は会のメンバーそれぞれに護衛をつけたが、今度は門倉が政令病院の中の倉庫内で角材で殴り殺された状態で発見された。またしても密室状態だった。警察はその病院に勤める御手洗に疑いをかけて連行していったが、その後忍は「自分がオリジナルである」と主張する御手洗に呼び出されたり、再び現れた死んだはずの加納に「飯塚の亡くなった奥さんを調べろ」と言われたりと混乱し、質問に何も答えようとしない飯塚にも不信感をつのらせる。
誰も信用できなくなっていた忍に、会にほとんど参加していなかった加賀美が、「僕はあなたが知りたいことは全部知っている」と言う。そして新幹線のチケットを渡された忍は、加賀美とともに飯塚の地元へと向かう。
バイロケーションの特徴
・バイロケはもう1人の自分であるため、番号が同じ紙幣やクレジットカードなどの所持品から髪の毛や爪の長さまで、オリジナル(本人)と寸分違わず差異は何もない。
・長時間出現していられないドッペルゲンガーと違い、出現している時間や場所、条件は完全にランダムで法則性は無い。しかしながらオリジナルの周囲に出現する可能性が極めて高く、あまりにもオリジナルから離れすぎると消えてしまう。
・バイロケはオリジナルの記憶も知識も全て持っているため、自分がバイロケであることに気づかない。また、外部からもオリジナルとの差異を発見することはほぼ不可能。
・バイロケにはオリジナルの記憶+自身で活動した記憶が残るが、オリジナルはバイロケが活動した記憶は共有しない。
・バイロケは外部に何かを”発信”することができないため、指紋が残らず、光を反射しないため鏡に映らない。食事はするが、摂取した食物がどう処理されているかは不明。
・・・こんな特徴をもった自分に命を狙われるそんな物語です。
そもそもの設定+随所に秘められたトリックで頭が混乱しそうになるかもしれません。
読んでいるうちに徐々に自分が命を狙われているように錯覚します。
正直ただ最初は怖いだけの小説かと思い読んでいましたが、最後の最後で仕掛けが待っていました、、、
詳しくは読んでみてください!!!