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サイコの思想とは-殺戮にいたる病

著者:安孫子武丸

出版:講談社

頁数:324頁

 

名作中の名作サイコ・ホラー小説。

 

あらすじ

「永遠の愛をつかみたいと男は願った―。
東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。
犯人の名前は、蒲生稔!
くり返される凌辱の果ての惨殺。
冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。」

 

衝撃のラストシーン、、、このブログの読んでいると見飽きてきそうな言葉になりつつありますね。

 

いやしかし安孫子武丸、この人は凄いですね、、、

本書では、何度もミスリード・伏線が出てきます。

これを初見で看破するのはとてもじゃないけど無理な話かと思います。

 ちなみに私は3度ほど読み返しても、それでもまだ新しい伏線に気付くことがありました。

 

本書の内容

犯人の蒲生稔が逮捕される、いうなればエピローグから始まり、そこまでにストーリーを3人の人物の視点から描いています。

 

1人目:蒲生 稔

猟奇的な殺人に手を染めていく犯人です。思想的性的に歪んでおり、主人公なのにあまり感情移入できません、、、

逆にそれが読了感をよく見せているかもしれません。

女性を騙しホテルに連れ込み殺害、そのうえで性行為に及ぶという、、なんとも凄惨なキャラです。

 

2人目:蒲生 雅子

ニュースで見た殺人事件の報道から、自分の息子が犯人なのではないかと疑っている母親です。この女性がなんともいい味を出してくれます。このキャラの発言・考え・行動のおかげで伏線がバツバツ機能します。

 

3人目:樋口 武雄

知り合いが稔の殺人に巻き込まれた元警部です。かつての部下が樋口の元を訪れ事件を紐解いていきます。このキャラはストーリーをうまく回していくために配置されたように感じますね。

 

 3人の心理が複雑に絡み合い想像もつかないようなラストへ向けて進んでいきます。

 

猟奇的な殺人シーンは描写も上手く、目を覆いたくなるような残酷なシーンではありますが、一気に読ませてしまう筆力があります。

トリック自体は大きいものの一本勝負ってな感じです。

 

ただ張り巡らされた伏線の上手さ。この小説の魅力はそこに詰まっております。

 

エログロ耐性があるかた、是非に、読んでみてください。