Cork

No MG

小説・ゲーム・バンド、その他なんでも面白いもの、紹介していきます!

促された純愛-恋する寄生虫

著者:三秋 縋

出版:KADOKAWAメディアワークス文庫

頁数:322頁

 

エログロどんでん返し系じゃない本も読みますよ。

というアピールをするための記事です。

 

 まずはあらすじから。

あらすじ

「何から何までまともではなくて、しかし、紛れもなくそれは恋だった。

「ねえ、高坂さんは、こんな風に考えたことはない? 自分はこのまま、誰と愛し合うこともなく死んでいくんじゃないか。自分が死んだとき、涙を流してくれる人間は一人もいないんじゃないか」

失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。一見何もかもが噛み合わない二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。
しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを――。」

 

極度の潔癖症が災いし失業中の青年、高坂賢吾。他人が不潔の象徴のように感じられてしまい、部屋から出られない。やむなく出かける際には薄手のビニール手袋をし、マスクで完全防備を余儀なくされる。人と触れ合うことも、誰かが使ったものも使えない状態に陥っていた。

 

部屋から出られない彼は密かに犯罪行為であるマルウェアを作成しネット上でばらまいていた。それを突き止めた和泉という男から半ば脅迫のように子供の面倒を見てくれ、と依頼を受ける。

 

そうして高坂が出会ったのは、佐薙ひじりという17歳の女子高生。

金髪に青いピアス、大きなヘッドホンを身に着けた無愛想な女の子。

自分の聖域を荒らす女子高生に辟易しながらも脅迫の元、潔癖症を隠しながら面倒を見る高坂。ある日、佐薙から連絡を受け迎えに行くとどうやら様子がおかしい。

彼女は「視線恐怖症」であった。

奇抜な髪形や大きなヘッドホンは他人からの視線をそらすために身にしていたものだった。

高坂も潔癖症を告白し、2人の間には特別な感情が芽生え始めていた。

 

 

 

と、まぁ、序盤を短くまとめますとこんな感じになります。

ありがちな恋愛小説じゃないか。そう思われるんじゃないかな、と思いながらそう思われるように書きました。

 

この本が尋常ならざる様相を呈してくるのはここからなのです。

 

その要素をここに書いてしまっては元も子もないので、好きな台詞を置いておきます。

 

「紛いものの恋で何が悪いの?私は操り糸の存在を知った上で、それにあえて身を任せているんだよ。これが自分の意志でなくてなんだっていうの?」

 

紛いものの恋。この言葉が表すところとは。

 

いつも自分の意志にのっとって行動している、と言い切れる人はどれくらいいるでしょうか。

その自己決定は何かから誘導させて行ったものではないのか。

そんな疑心暗鬼にもさせられる儚く美しい恋愛小説です。