青臭い主人公モドキ-密閉教室
著者:法月綸太郎
出版:講談社
頁数:362頁
こんな人にオススメ
・サクサクと進む軽快なミステリーが読みたい方
・高校生のころを思い出したい方
・高校生のころ自分を世界の主人公だと思っていた方
あらすじ
舞台は湖山北高校。早朝登校した女子生徒梶川笙子と担任教師大神龍彦が自分たちの教室で発見したのは、クラスメイト中町圭介の死体だった。ガムテープの目張りで閉ざされていた扉の向こうには、彼の死体以外、なぜかあるはずの四十八組の机と椅子が消えうせていた。残されていた遺書はゼロックス・コピー。
果敢にもこの謎だらけの事件に挑むのは、主人公である工藤順也。ハードボイルドやミステリが大好物なだけあり、気取ってみたりするもののそこは一介の高校生に過ぎずどうにも青臭さが否めない。
机と椅子の消失から始まり、矢継ぎ早に表れる謎に立ち向かう主人公とその友人たち。周到に張り巡らされた伏線。たった1日の三重四重の逆転劇。
高校生が活躍するミステリー小説!
というともうすでに読んでいる方には怒られる、そんな小説です。
主人公が謎を看破!→新たな要素が浮上→犯人を追いつめる→新要素浮上→真犯人は、、、!
みたいなことの応酬がただひたすらに続きます。
ただ単純にそれが繰り返されるだけではなく趣向を凝らした謎がそこかしこに登場することに加え、平易な文体で綴られているため、主人公に共感することができれば移入することは難くありません。
本作の魅力は登場人物みなが、少し浮世離れしたような、一歩引いた場所から物事を眺めるような人たちだという点です。
なのでサッカー部でした、バリバリやってました、みたいな人は感情移入できないかもしれません。
また何より、結末。
「あぁ~こういうトリックか!」
「主人公こんな立場なにか!」
というその2つの気持ちに支配されること請け合いです。
読みきって初めてなぜ私が、こんな人にオススメにこう書いたのかわかります。
”高校生のころ自分を世界の主人公だと思っていた方”
好みが分かれるかもしれませんが、読み進めやすさは抜群です。
読むものないなーって思ったらこの本を選んでみてもよいのでは。