超エンタメホラー小説-死と呪いの島で僕らは
著者:雪富千晶紀
出版:角川ホラー文庫
頁数:384頁
最近気づきました。私、角川ホラーが好きです。知らず知らずのうちに手に取っていることが多いです。
ホラーと銘打っている割には青春的なものだったり、ホラー要素が少なかったりして、エンタメ性に富んでいるんですよね。
今回もその中から1冊紹介します。
こんな方にオススメ
・呪術やオカルトチックなものに興味がある
・影を帯びたヒロインになぜか心惹かれる
・少年漫画のような主人公に感情移入しやすい
あらすじ
「東京都の果ての美しい島。
美しい少女、椰々子は、死者の預言を聞く力を持ち、不吉だと疎まれている。
同級生で名家の息子の杜弥は、そんな彼女に片想い。
しかし椰々子が「災いがくる」という預言を聞いた日から、島に異変が。
浜辺に沈没船が漂着し、海で死んだ男が甦り、巨大な人喰い鮫が現れる。
やがて島に迫る、殺戮の気配……。
呪われているのは、島か、少女か。」
島の伝統を守る一家の次男坊、杜弥。父と兄が自分に何かを隠していることを敏感に察しつつも、はぐらかされ続けモヤモヤがたまっていく。
そんな主人公が思いを募らせるのは、閉鎖的な島でなぜか疎まれて暮らしている、椰々子。
...
この出だし、完全に青春ものでしょう?
そして一方。
...
死んだはずの男が生きて帰り、島の人々を殺して回る。しかもそいつは首を切り落としても動きつつける、、、
...
バイオハザードかな???
と、まぁ要素が盛り沢山な内容になっております。
ホラーなんですけど、ミステリとしても、パニックものとしても、青春ものとしても読める、一作でかなり色々味わえるエンターテインメントです。
かなり濃度が濃いから読み応えとしても抜群。ページ数以上のものを感じられ、充実読書体験になるかと。
そして何よりここまで要素が多いと雑然としたラストになりがちなんですが、一種の清涼剤として本書を気持ちよくまとめてくれるのが主人公二人のシーン。
詳しくここに書けないのが残念でならないですが、ものすごくきれいにまとまっています。
ヒロインの心境の変化もみどころかもしれません。