凡人が天才を立ち回らせる-φは壊れたね
著者:森博嗣
出版:講談社
頁数:320頁
森博嗣シリーズ3つ目です。その名もGシリーズ。全作通して「○(ギリシア文字)は○○だよ」系というタイトルになっています。
こんな方にオススメ
・平々凡々な主人公に感情移入する方
・森博嗣作品初めての方
・森博嗣作品だけどさくっと読みたい方
あらすじ
もしもこれまでの人生、1冊の森博嗣も読んでいなかったら。――<西尾維新(解説より)>
その死体は、Yの字に吊られていた。背中に作りものの翼をつけて。部屋は密室状態。さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。タイトルは「Φ(ファイ)は壊れたね」。これは挑戦なのか?N大のスーパ大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。Gシリーズ第1作。
今回も登場人物にフォーカスしていきます。
加部谷恵美(かべや めぐみ)
私立C大学の学生。S&Mシリーズの『幻惑の死と使途』にて初登場(このときは中学生)。明るい性格で自分で自分を突っ込む節がある。
外見は大学生に見えずまたアニメ声であり幼く見えるためか周りからよく茶化される。萌絵自身や萌絵のお嬢様生活に憧れを抱いており彼女の行動・言動を逐一観察している。
ちなみに大学へは実家から自転車で通学。海月の表情を読める1人である。
山吹早月(やまぶき さつき)
私立C大学の大学院生。『四季 秋』にて初登場。よくゼミに顔を出す。性格は温和で面倒見が良く、人付き合いが上手い。同人誌の好きな姉がいる。
加部谷曰く「自殺するときは1人人知れず樹海に入っていくタイプ」で、軽くSっ気があるのではないかと恵美には思われている。白刀島出身。海月とは島で中学生時代に一年間だけ同級生だった。海月の表情を読める1人である。
博士課程中の大学院では犀川の研究室に居た。加部谷とは同じ町に住んでいる。
海月及介(くらげ きゅうすけ)
私立C大学の学生。山吹と同い年だが大学に入る前に三年間海外で過ごしたため、加部谷と同学年である。
博識であり感情の起伏がなく普段からノンフィクションものを読んでいる。非常に無口ではあるが話をするときは理路整然と話す。本作品での事件の真相の語り役。
よく山吹の部屋に上がり寝泊りしている。山吹曰く、たまに一週間ほど行方しれずになる。
時折、萌絵に興味がある素振りを見せており、そのことに加部谷は興味を抱いている。西之園萌絵や反町愛からは、犀川創平との共通点があることを指摘されている。
雨宮純(あめみや じゅん)
加部谷の同級生で友人。美人で明るい性格。東海四県ネットのテレビ局に就職しレポーターをしている。那古野で暮らしている。本シリーズのツッコミ役で割とまともな人間のポジション。
物語の流れとしては加部谷恵美から聞いた事件を海月及介が説明の意を込めて解くというものとなり、そして一連の事件の黒幕・核心に徐々に迫っていきます。
回を追うごとにS&Mシリーズの西之園萌絵をはじめ犀川創平や、Vシリーズの瀬在丸紅子といった探偵キャラクターの登場頻度が増えていき、群像劇として加部谷が狂言回しのような役割を担っていきます。
一話完結をせず、あくまでシリーズとして刊行順に話が進んでいたり、時系列が大きく進むのも特徴。
今までの森博嗣作品と比べると、読みやすくとっつきやすいと思います。
初めて森博嗣作品を読む、、、!って人にいいんじゃないかなぁ、と。
その分、従来の重厚さがお好みの人は好みが分かれてしまうかもしれません。
何はともあれ1作目を読んでみるといいんじゃないかな、と思います!!