ドストレートどんでん返し!-屋上のテロリスト
著者:知念実希望人
出版:光文社
頁数:366頁
エンターテインメント。
そう呼ぶにふさわしい小説です。
完全にジャケ買いをしましたこの本。
そして読了後見直して、思わず「おぉ、、、!」って声が漏れました。
やはり装丁まで楽しめるのも本の楽しいところですね。
あらすじ
「一九四五年八月十五日、ポツダム宣言を受諾しなかった日本はその後、東西に分断された。そして七十数年後の今。「バイトする気ない?」学校の屋上で出会った不思議な少女・沙希の誘いに応え契約を結んだ彰人は、少女の仕組んだ壮大なテロ計画に巻き込まれていく! 鮮やかな展開、待ち受ける衝撃と感動のラスト。世界をひっくり返す、超傑作エンターテインメント!」
主人公は「死」に憧れる自殺願望のある男子高校生。学校の屋上で出会ったのは不登校だった少女。彼女は莫大な財産を有しており、テロを計画している。その手伝いをしてくれないかという誘いを受ける少年。
テロを成し遂げれば報酬として殺してくれる、という。
舞台背景は第二次世界大戦の時に日本が東西に分断されている設定。
また年代は奇しくも2017年。
そのあたりも現実と比較しながら読むと楽しいです。
(2017年終了まであと1か月もないですが)
少女に翻弄される大人たち、徐々に明らかになっていく計画の全貌。
それが少年の目を通して描かれていきます。
正直に言いますと、王道中の王道。予定調和のように話が進んでいきます。
なのに目が離せなくなる。著者の描くシーンやその文体がとても小気味よい故です。
「こうくるだろう!」と思ったら、その通りになる。でも新しい要素や、トリックが散りばめられており、飽きさせない。
駆け抜けていくような読了感。
青春小説とはかくもこうあるべきではないでしょうか。