Cork

No MG

小説・ゲーム・バンド、その他なんでも面白いもの、紹介していきます!

逆転劇と言うには生ぬるい-その女アレックス(原題alex)

徐々に趣味嗜好が明らかになっている気がしています。

今回も暗い本の紹介です。

 

文春文庫から、2014年9月に出版された『その女アレックス(原題alex)』、著者はピエール・ルメートルで翻訳は橘明美です。

 

あらすじは下記の通り。

「貴方の予想はすべて裏切られる――。

おまえが死ぬのを見たい――男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが……。
ここまでは序章にすぎない。孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、慟哭と驚愕へと突進する。

「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」(「訳者あとがき」より)。」

 

主人公は二人。

周りの男性をすぐに虜にしてしまう女性、アレックス。本書はこのアレックスが誘拐されるところから始まります。

「くたばるところを見てやる」としか言わない誘拐犯。ただ裸の状態で監禁されたままのアレックス。ここから同逆転劇が始まるのか、見ものです。

もう一人の主人公は、著しく背が低い刑事、カミーユ。最愛の妻を、自分が担当した誘拐事件で亡くし、第一線から退いていたが、上司の計らいにより再度誘拐事件の最前線に立つことに。精神的にもブレがあるが、被害者のために最善を尽くす点がとても強調されているキャラクタです。

 

考えられないほど狭い檻に閉じ込められ、理不尽な体勢で身動きもとれずまともな食事も与えられないアレックス。さらには鼠も放たれ、いつ身体をかじられるかもわからない極限な状況。

ここから大逆転劇が始まっていきます。

 

一方カミーユサイド。

手がかりがまるでなく、犯人も被害者の女性の素性もなかなか明らかにされない。そんななかでどう犯人を追いつめていくのか。、、、という点が見どころではなく、容疑者を取り調べするシーンに魅力が詰まっています。

論理的にだが人情にも訴えかけるように詰めていくシーンは圧巻です。

 

ただ一点注意しなければならないのが、グロいシーンがそこかしこに出てきます。

こう、、背筋が冷えるようなシーンも多いです。

 

もしそういったスプラッタな感じが大丈夫な方であればとても楽しめるかと思います。

 

是非読んでみてください。